数学が嫌いになる理由

私の一貫した考えは、「数学は楽しいもの」だということです。

 

数学はある種の、”パズル”です。

パズルを嫌いっていう人は、あまり聞いたことがありませんよね?

でも、一見同じようなものである数学は、かなり多くの人が「嫌い」と答えます。

 

一体なぜでしょうか?

今回は、そのことについて考えてみたいと思います。

 

そこには、数学(学校教育数学)が持つ3つの大きな特徴があると考えています。

 

 

【1】やらされる数学、必要に迫られる数学

 

ほぼ全ての人が、「数学」を経験してきたはずです。

義務教育で中学校の教育を受けたとき、間違いなく「数学」をやったはずです。

 

では、なぜ数学をしていたのでしょうか?

 

答えは、「ならないといけない」からです。

義務教育とはそういうものです。

つまり、好むと好まざるとにかかわらず、数学を勉強しないと「いけない」のです。

 

自ら進んで数学を勉強できた人はラッキーですが、残念ながら中にはそうでない人もいます。

しかも、学校でやる数学には点数がついて、順位がついて(場合によっては公表され)、成績がついて、模試を受ければ偏差値を知らされ、過酷な受験勉強では合格のために苦労の中で数学をやらざるを得ません。

人は、自ら進んでやることには喜びを覚え、やらされている(と感じる)場合には悪感情を抱きます。

 

もちろん、そんな中で数学の力を伸ばしていった人も多くいると思います。

 

ただ残念ながら、数学の犠牲者になった人は、それ以上の数いるのが現状だと思います。

数学を嫌いになるひとつの背景には、こういった要因が潜んでいるのでしょう。

 

 

【2】数学は積み重ねの学問

 

数学という学問は、積み重ねの上に成り立ちます。

四則計算がわからなければ、当然方程式を解くことはできませんし、関数の概念を知らなければ、放物線の問題を解くことはできません。(もしかしたら、「表面上」は解けるかもしれませんが…)

 

つまり、あるどこかの時点で運悪くつまずいてしまったら、そこを克服しないかぎり、その先に習うことはチンプンカンプンになってしまうわけです。

 

なんて恐ろしいことでしょう…!!

 

わからないことを残してしまうと、その先はどんどんわからなくなってしまい、当然わからないことは面白くないわけで、結果数学が「嫌い」になってしまうというわけです。

とっても悲しいお話しです。

 

 

「それ、私だわ…」と思ったあなた。

救いの方法は2つあります。

 

ひとつは、「学び直す中学数学」のような本を読んで、わからないところをリストアップしてみてください。(「忘れている」ところではなく、「わからなかった」ところです)

「すべてわからない」ということはおそらくないはずです。「わかる」ものと「わからない」ものに分類できるはずです。

そして、リストの「わからない」項目を見ることで、過去にどこでつまずいてしまったか、だいたいの範囲がわかります。

 

そして10代前半よりも、多くの社会経験を積んだ今の方が、きっと理解する力はあるはずです。ですので、頑張って「わからなかった」ところをわかるまで読み込んでみてください。

きっと道は開かれていくはずです。

 

 

もうひとつは、数学的な予備知識がほとんどなくても楽しめる厳選された問題と、初心者にもわかりやすく丁寧に書かれた解説に触れることです。

そんなものどこにあるのか?

ここにあります。

(↑私の本です。笑)

 

 

【3】数学は誰から教わるかで、理解度や興味が大きく違ってくる

 

あたりまえですが、数学は、数字と記号と文字で表現されます。

見た目は誰が見ても同じです。

印刷された活字が、人によってその形そのものが違って見える、ということはありません。

 

ただし、それをどう解釈するか、どう説明するかは、人によって大きく異なります。

それがまさしく、その人の数学の力です。

 

数学教師は、その表面だけをなぞるという教え方もできます。

あるいは、その奥深くまで入り込み、壮大に魅力的に表現することもできます。

つまり、教科書に書いてあることを誰が伝えるかによって、受取り側の数学に対する興味や印象は大きく変わってくるはずです。

 

数学は本来、知的好奇心を満たすエキサイティングなものであるはずです。

10代の頃に(もちろんそれ以降でも全く遅くはありません)に、どれだけ数学の魅力を感じられたか。それによって数学に対するスタンスは180°変わってくるのではないでしょうか?

 

 

以上、3つの要因をあげてみました。

これが、「なぜ数学が嫌いな人がこんなに多いのか」という問いに対する私の答えです。

 

そして、もし少しでも数学を好きになりたいという気持ちがあれば、そこに向かうために最初に大事なのは、「なぜ自分は数学が好きではないのか」、その理由を知ることです。

 

ここで上げた3つの要因のうち、いくつかはあなたにも当てはまるものがあったのではないでしょうか?

「なるほど。だから嫌いだったんだ」と思えれば、しめたものです。

原因を知れば(そして、その原因が些細なものだったと感じることができれば)、その呪縛を解くのはたやすいことのはずです。

 

さあ、なんとなく数学を好きになれそうな気がしてきませんか?

そのまま、進んでみましょう!